2019年5月27日から公益著名商標に係る通常使用権の許諾が可能となります

 現行の商標法では、公益著名商標は、当該公益団体等自身が出願するときに限って商標登録を受けることができますが(商標法第4条第1項第6号及び第2項)、公益著名商標に係る商標権については、通常使用権の許諾は認められていませんでした(同法第31条第1項ただし書)。
 しかしながら近年、地域のブランディングや自身の広報活動の一環として、地方公共団体や大学等が関連グッズを販売することや、研究機関が開発に携わった商品を企業が販売するケースが増え、特に大学において、自主財源の確保、産学連携から生じた研究成果の周知及び大学のブランド・知名度の向上等を目的に、公益著名商標に係る商標権の通常使用権を事業者に許諾し、ブランド展開を積極的に行いたいとのニーズが高まっていました。
 本改正は、公益著名商標に係る商標権について、通常使用権の許諾を制限していた商標法第31条第1項ただし書を削除するものです。
 今回の改正により、公益著名商標に係る商標権について、通常使用権の許諾が可能となることで、公益団体等による登録商標の活用の幅が広がることが期待されます。
(令和1年5月17日 特許庁HPの記載を引用)

参考条文
商標法第4条第1項第6号及び第2項
第四条 次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。
六 国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であつて営利を目的としないもの又は公益に関する事業であつて営利を目的としないものを表示する標章であつて著名なものと同一又は類似の商標
2 国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であつて営利を目的としないもの又は公益に関する事業であつて営利を目的としないものを行つている者が前項第六号の商標について商標登録出願をするときは、同号の規定は、適用しない。

商標法第31条第1項(この度「ただし書き」の部分が削除されます)
第三十一条 商標権者は、その商標権について他人に通常使用権を許諾することができる。【ただし、第四条第二項に規定する商標登録出願に係る商標権については、この限りでない。】←即ち、改正前は、公益著名商標に係る商標権について、通常使用権の許諾が許可されていませんでした。
2 通常使用権者は、設定行為で定めた範囲内において、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を有する。
3 通常使用権は、商標権者(専用使用権についての通常使用権にあつては、商標権者及び専用使用権者)の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。
4 通常使用権は、その登録をしたときは、その商標権若しくは専用使用権又はその商標権についての専用使用権をその後に取得した者に対しても、その効力を生ずる。
5 通常使用権の移転、変更、消滅又は処分の制限は、登録しなければ、第三者に対抗することができない。
6 特許法第七十三条第一項(共有)、第九十四条第二項(質権の設定)及び第九十七条第三項(放棄)の規定は、通常使用権に準用する。
特許庁HPの参照先
以上